海外仮想通貨(暗号資産)取引所でよく使われる用語「KYC」。「顧客を知る(Know Your Customer)」の略で、身分証明書などを提出して本人確認を行うことです。
数年前までは「海外仮想通貨取引所は、以前は本人確認(KYC)なしで利用できる」と言われていましたが、現在は規制強化により状況が変わってきています。
らっこ段々厳しくなっていってっコ・・・
まだKYCなしで高額の出金ができる海外仮想通貨取引所もありますが、規制強化の傾向を考慮すると、よほど事情がある場合を除けばKYCを済ませておくのをおすすめします。
KYCを済ませると、ボーナス等の特典が利用できるといったメリットを用意している仮想通貨取引所もあります。
この記事では、KYCの仕組みから、代表的な仮想通貨取引所が設定しているKYCなしの場合の制限、KYCによる出金制限などを詳しく紹介します。


本記事は執筆後、2026年5月時点で著者が公式サイト等を再確認し、内容に大きな変更がないことを確認しています。
今回の記事で参考にしたページ
仮想通貨取引所の一般的なKYCの仕組み
仮想通貨取引所の一般的なKYC(本人確認)は、以下の3段階に分かれます。
- KYCなし
- KYCレベル1(身分証の確認)
- KYCレベル2(住所の確認)
それぞれ具体的に何をするかを紹介します。
KYCなし
KYC(本人確認)なしの仮想通貨取引所の場合、メールアドレスや電話番号などの連絡先の情報を入力すれば利用開始できます。
氏名を登録する必要もありません。



名前もいらないのはすごいポン!
仮想通貨は匿名性を重視していることもあり、以前はKYCなしで取引などのサービスを利用できるのが普通でした。
現在でもその仕組みを貫いている仮想通貨取引所もありますが、現在ではKYCなしの段階ではサービスの利用に制限をかけるのが主流になっています。
Binance(バイナンス)に米当局が巨額の罰金を科すなど規制が強まっていることや、アラブ首長国連邦(UAE)などの金融ライセンスを取得するなど従来の金融の枠組みに近づいていっている仮想通貨取引所が増えていることも背景にあると思われます。



企業としての信頼性が上がった代償とも言えるっコ・・・
KYCレベル1
一般的な仮想通貨取引所では、KYCレベル1で身分証の確認を行います。
日本の運転免許証もKYCレベル1に利用できます。
身分証の画像だけだと画像を入手した第三者が勝手に悪用して口座開設ができてしまうので、多くの仮想通貨取引所では、動画撮影での確認フローを入れています。
動画撮影では、自分の顔をカメラに映してその顔を大きく回すなどの動作を行い、その身分証を持つ本人がカメラの前にいることを証明します。


国内取引所では、口座開設の段階で運転免許証等の顔写真付き証明書と住所証明書の両方が必要ですが、海外取引所では、住所証明書はKYCレベル2以降で必要となることが多いため、比較的簡単です。
KYCレベル2
仮想通貨取引所のKYCレベル2では、住所が確認できる書類の提出を行います。
しかし、一般的な仮想通貨取引所は身分証の確認でほとんどの機能を利用できるようになりますので、KYCレベル2まで完了させるユーザーは少ないです。
特に高額の入出金をする予定のあるユーザーなどがKYCレベル2まで行っています。
KYCレベル2とは別に、法人用口座を用意している仮想通貨取引所もあります。
仮想通貨取引所をKYCなしで利用する際の制限
規制の圧力が強まったことにより、海外仮想通貨(暗号資産)取引所をKYC(本人確認)なしで利用する際の制限はどんどん厳格化されています。
制限のパターンは、以下の3つにわけられます。
- 全サービス利用不可
- ボーナス等の特典の制限
- 1日あたりの出金額を制限
全サービス利用不可
ルールが厳格な海外仮想通貨取引所では、KYCを終わらせなければ全サービスが利用不可になります。
ただし、ルールが厳格化される前に口座を開設したユーザーへの救済措置として、出金や決済のみ認められている場合もあります。



どうしてもKYCをしたくない人は出金が必要だね
ボーナス等の特典の制限
仮想通貨取引所の中には、KYCなしでも基本機能は利用できるものの、KYCを完了するとボーナス等の特典を利用できるようになるところもあります。
これは、金融当局による規制の影響というよりは、お得な特典を1人1回に制限するという仮想通貨取引所側の事情であると思われます。
1日あたりの出金限度額を制限
日本人に人気の海外仮想通貨取引所はすべて、1日あたりの出金限度額を設定しています。KYCをすれば、この出金限度額が引き上げられます。



KYCをすれば一般ユーザーは意識する必要がないくらい上限が上がるよ!
KYCをしなくてもほかのサービスは利用できる仮想通貨取引所では、KYCの有無は1日あたりの出金限度額にのみ影響することが多いです。
日本人に人気の海外仮想通貨取引所のKYCによる1日あたりの出金制限は以下のようになっています。
| 仮想通貨取引所 | KYCなし | KYCあり |
MEXC | 出金不可 | 初級KYC:80 BTC 上級KYC:200 BTC |
KuCoin | 0~3万USDT ※KYC情報の提供量に応じて変動 | 999,999 USDT |
Bitget | 2万ドル相当(1日) 10万ドル相当(1か月) | 300万~1500万ドル相当 ※VIPレベルに応じて変動 |
BingX | 2万USDT | 500万USDT |
ZOOMEX | 100BTC | 200BTC |
この中で唯一KYCなしで取引ができるZOOMEXでは、KYCなしでも1日あたり100BTCという非常に緩い出金金額の制限になっています。
1BTC=6万ドル、1ドル150円で計算すると、100BTCは9億円という大金です。それも、1日あたりの出金限度額に過ぎないので、日を改めればこれ以上に出金することができます。
その他の取引所では、KYCなしの場合1日の出金制限が2~3万USDT以下と比較的少額です。
1ドル150円で計算すると、2万USDTは約300万円なので、個人トレーダーでも制限がかかってしまう人もいるでしょう。
このような制限がかかりますので、KYCなしにこだわりたい方以外は、口座開設と同時にKYCを済ませてしまうことをおすすめします。
各仮想通貨取引所のKYCの仕組み
KYC(本人確認)による制限には、出金限度額の制限のほかにも、一部の機能が使えないといったものもあります。また、KYCの有無で出金限度額が制限される仕組みも、仮想通貨取引所によって微妙に異なります。
ここからは、主要な海外仮想通貨取引所のKYCによる制限の仕組みを詳しく解説します。
- MEXC
- KuCoin
- Bitget
- BingX
- ZOOMEX
MEXCのKYC
MEXC(メクシー)では、KYC(本人確認)のが必須の仮想通貨取引所で段階が2つにわかれています。
| KYC段階 | 出金限度額(24時間) | 法定通貨取引 | 必要書類 |
|---|---|---|---|
| 初級KYC | 80BTC/日 | P2P取引 | 本人確認書類 |
| 上級KYC | 200BTC/日 | $20,000/日 | ・本人確認書類 ・顔認証 |
KYCの段階によって出金限度額が異なりますが、ほとんどのトレーダーは1日あたり80BTCも出金することはないと思いますので、億トレーダー以外は気にする必要はありません。
クレジットカード入金が法定通貨取引として扱われるため、クレジットカード入金を希望する方は上級KYCが必要です。
出金の際にKYCが必要となりますが、既存ユーザーでどうしてもKYCがしたくない方は、サポートに申請すると出金等のみが可能なアカウントに変更して出金が可能です。




KuCoinのKYC
KuCoinは、KYC必須の仮想通貨取引所で、KYCをしなければ売却・ポジション決済・償還と出金のみしかできません。
| KYC段階 | 出金限度額(24時間) | P2P取引 | 必要書類 |
|---|---|---|---|
| KYCなし | 3万USDT/日 | ✖ | なし |
| KYC完了 | 999,999 USDT/日 | 50万USDT/日 | ・本人確認書類 ・顔認証 |



KYCありかなしかだけだからシンプルだね!
KYC確認済の場合の1日の出金限度額は999,999 USDTです。1ドル155円のとき約1億5000万円となり、ほかの仮想通貨取引所と比べるとやや低いものの、個人トレーダーの規模では十分な金額を出金できます。
BitgetのKYC
Bitget(ビットゲット)は、KYC必須の仮想通貨取引所で、KYCをしなければ注文のキャンセル、償還、ポジションの決済と出金のみしかできません。
出金限度額は、KYCレベル1とレベル2でできることに違いはなく、KYCレベル2は「利用者の信頼性を高め、不正行為の防止に役立つ」と説明されています。
| KYC段階 | 必要書類 |
|---|---|
| KYCレベル1 | ・政府発行の身分証明書 ・顔認証 |
| KYCレベル2 | 住所証明 |



セキュリティ上のメリットがあるだけポン!
Bitgetでは、KYCレベルではなくVIPレベルで出金限度額が決まります。
| VIPレベル | KYC認証未完了 | KYCレベル1/レベル2 |
|---|---|---|
| 一般ユーザー | 2万USDT/日 10万USDT/月 | 300万USDT/日 |
| VIP1 | 600万USDT/日 | |
| VIP2 | 800万USDT/日 | |
| VIP3 | 1000万USDT/日 | |
| VIP4 | 1200万USDT/日 | |
| VIP5 | 1500万USDT/日 |
一般ユーザーでも1日あたり300万USDTという十分な金額の出金が可能です。
BingXのKYC
BingX(ビンエックス)は、KYC必須の仮想通貨取引所で、KYCをしなければ1日あたり2万USDTの出金しかできません。
一方、KYCを終わらせると1日500万USDTまで出金ができるようになるほか、全ての機能を利用できるようになります。
BingXのKYCは1段階ですが、「アドバンス認証」という名称になっています。これはKYCが必須になる以前はより簡略化された認証である「基本認証」があった名残ではないかと思われます。
BingXのアドバンス認証には、身分証明書の提出と顔認証が必要になります。
ZOOMEXのKYC
ZOOMEX(ズーメックス)は、KYC(本人確認)が必須ではないタイプの海外仮想通貨取引所です。本人確認をしなくても入金・取引・出金まで全ての機能が使えますが、KYCを完了すると出金上限が100BTCから200BTCに引き上がります。
| KYC段階 | 出金限度額 | 必要書類 |
|---|---|---|
| レベル0(KYCなし) | 100BTC/日 | なし |
| レベル1(KYCあり) | 200BTC/日 | ・出生国/居住国から発行された書類(パスポート/身分証明書/運転免許証のいずれか) ・顔認証 |
KYCなしでも1日あたり100BTCの出金ができますので、ほとんどの人にとってはKYCなしの状態でも日常的なトレードには困らない設計になっています。匿名寄りに使える数少ない取引所ですが、万が一のトラブルの際に口座の所有者であることを確認しやすくなりますので、KYCをしても問題ない方はKYCを済ませておいた方がいいでしょう。
海外仮想通貨取引所ではKYCが義務化される傾向
海外仮想通貨取引所では年々KYC(本人確認)の流れが強まっています。
もともと無ライセンスで運営されることの多かった仮想通貨取引所ですが、アラブ首長国連邦(UAE)など仮想通貨を誘致している国のライセンスを取得する取引所も出てきました。BybitもUAEのライセンスを取得しています。



コンプライアンスに対する姿勢は取引所ごとに違うっコ!
今後もKYCの流れは続くと思われますので、KYCなしにこだわりたい方にとっても選択肢は狭くなっています。
サービス内容で取引所を選ぶことが難しくなりますので、どうしてもKYCをせずに使いたい事情がある方以外は、素直にKYCを完了させることをおすすめします。
どうしてもという方は、日本語対応の取引所の中でほぼ唯一の選択肢ともいえるZOOMEXを検討してみてください。
















