JPYCとは、日本円の価値に連動したステーブルコインです。分かりやすく説明すると、日本円と同等の価値をもつ仮想通貨です。
少しでも仮想通貨に触れたことがあれば、テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)という名前は聞いたことがあるでしょう。これらは仮想通貨全体の変動に左右されない、米ドルに連動したステーブルコインです。
米ドルに連動したステーブルコインは古くから有名でしたが、日本円に連動したものはほとんど普及していない状態が続いていました。しかし最近になってJPYCという名前をよく見かけるようになりました。
たぬき資金決済法の改正で知名度がアップしたポン!
今回はそのJPYCについての仕組みや使い方を紹介していきます。
本記事は、2026年3月時点で著者が公式サイト・プレスリリース等を再確認して執筆しています。出典となるページには個別にリンクを付けています。
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ステーブルコインJPYCってなに?
日本円に連動したステーブルコインであるJPYCは、発行会社が、1JPYC=1円として換金できることを保証しています。このため、発行会社が価値を保証する限り、1円と同じ価値を持つと考えることができます。


まずはステーブルJPYCについて以下の点から解説します。
- そもそもステーブルコインとは?
- 発行会社への送金でウォレットにJPYCが届く
- JPYCは2種類ある
そもそもステーブルコインとは?
JPYCはステーブルコインに分類されます。ステーブルコインとは、法定通貨に連動した資産価値を持つ仮想通貨です。様々な仕組みで様々なステーブルコインがあり、それぞれ特徴が違います。
ステーブルコインには大きく分けて、ドルや円などを担保とした「法定通貨担保型」と、「仮想通貨担保型」、担保がなくアルゴリズムによって価格を安定させる「アルゴリズム型」があります。
JPYCやテザー(USDT)、USDコイン(USDC)はいずれも法定通貨担保型ですが、この中でもさらに、「払戻約束型」と払い戻し不可の「プリペイド型」に分けられます。
最も有名なステーブルコインであるテザー(USDT)は払戻約束型ですが、これは、テザーの保有者が、テザーの発行会社に米ドルとの交換を請求すれば、いつでも同じレート(1ドル=1USDT)で米ドルと交換できることが保証されているという仕組みです。
一方、プリペイド型(前払い式支払い手段)は法定通貨との交換ができません。法定通貨との交換ができるステーブルコインの方が多いですが、対応する法律が整備されていないなどの理由で一部のステーブルコインではプリペイド型が採用されています。
発行会社への送金でウォレットにJPYCが届く
JPYCは、発行会社に送金を行うことで、指定したウォレットに対応する金額のJPYCが振り込まれる仕組みです。MetaMask(メタマスク)などの個人ウォレットのアドレスも指定可能なため、仮想通貨取引所の取引口座を保有していなくても、JPYCの保有が可能です。


仮想通貨を個人ウォレットに入れる場合は、国内の仮想通貨取引所で仮想通貨を購入し、それを送金するという手順を取る人が多いです。一方、JPYCの場合は国内の取引所を経由しなくても入手することができ、使用するネットワークによっては手数料も非常に低いというメリットがあります。


JPYCは2種類ある
現在、JPYCは2種類あります。
2021年頃から運用されていたのが前払式支払手段としての「JPYC Prepaid」で、こちらはプリペイドカードやギフト券に近い性質を持ち、日本円への払い戻しを前提としない設計になっていました。
一方、資金決済法改正を受けて2025年に登場した新しい「電子決済手段型JPYC」は、第二種資金移動業の枠組みを使い、1JPYC=1円での償還を前提とした「法定通貨連動型ステーブルコイン」として位置づけられています。
資金決済法が改正されるまで、日本では銀行業や資金移動業の免許を取得せずに払戻約束型でステーブルコインを発行してしまうと、為替取引に関する規制に抵触する恐れがありました。これが障壁となり、JPYCは当初はプリペイド型で発行されました。
そこでJPYCは前払式支払手段のステーブルコインとして発足しました。
この結果、同じJPYCブランドの下に、「償還なし・プリペイド的に使うトークン」と「償還あり・ステーブルコインとして使うトークン」が並立する形となります。
JPYC Prepaidの発行はすでに終了しており、今後は「電子決済手段型JPYC」の利用が中心になります。



ウォレットに入ってるのがPrepaidなのか新JPYCなのか間違えないように要注意だっコ
ステーブルコインJPYCは普及している?
名前を聞く機会は増えましたが、ステーブルコインJPYCは現在どのくらい普及しているのでしょうか?
以下の3点から解説します。
- 発行から約3か月で10億円を突破
- 仮想通貨入金がなくなったことは一部に不評
- 使い道はまだ少ない
発行から約3か月で10億円を突破
JPYCは2025年の「電子決済手段型JPYC」の登場によって知名度が上昇しました。
2026年2月にJPYCが発表したプレスリリースによると、2025年10月の発行以来、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」の累計発行額が10億円を突破し、口座開設数が13,000件に到達したを突破したということです。
法律を守った形でJPYCが償還が可能になったのはユーザーにとっては嬉しいですよね。
仮想通貨入金がなくなったことは一部に不評
一方、プリペイド型の時代から利用していた一部のユーザーは、電子決済手段型JPYCでは仮想通貨による入金ができなくなったことを残念に感じているようです。
プリペイド型のJPYCは、日本円でも仮想通貨でも購入できたため、仮想通貨でJPYCを購入し、Vプリカ(プリペイド型のVISAカード)に変換することで、仮想通貨を法定通貨のようにショッピングなどに利用することが可能でした。


国内の仮想通貨取引所を介さずに実質日本円として使うことができることが喜ばれていました。国内仮想通貨取引所を介すということは、その取引が銀行口座に記録されてしまうからです。



脱税は絶対ダメだけど、その目的がJPYCの利用を増やしていた面もあるっコ


「電子決済手段型JPYC」になることで、そのようなニッチな需要から脱して一般的なステーブルコインになるのを目指すことになりますが、実際の普及状況はどうなのでしょうか?
使い道はまだ少ない
JPYCはプレスリリースで、「実店舗・EC決済、企業間精算、Web3ウォレット、法人会計・SaaS、クリエイター支援など、幅広い領域での連携が進むことにより、JPYCを基盤とした新しい経済圏が急速に形成されつつあります。」とアピールしていますが、正直なところ経済圏として紹介されているサービスはあまり知名度が高くないものが多いです。


出典)JPYCプレスリリース
ユーザーの声でも、「使える場所はまだ限定的」「実験的な導入が多い」という指摘が多く、USDTのような「どこでも使えるインフラ」とはまだ程遠い段階です。
提携先を見ると、現状はBtoC(企業から消費者へ)よりBtoB(企業から企業へ)が多く、一般ユーザーからすると使い道がわからない状況になっています。


ステーブルコインJPYCの発行と償還フロー
ステーブルコインJPYCは、発行(日本円などの資産をJPYCにする)と償還(JPYCを日本円にする)が可能です。
ここからは、発行と償還、そして二次流通で入手する方法について以下の3点から紹介します。
- 正式な発行方法
- 二次流通で入手する方法
- リスト
正式な発行方法
電子決済手段型JPYCを入手する基本的な流れは、「JPYCの公式プラットフォームにアカウント登録→本人確認→日本円入金→ウォレットにJPYC発行」です。
まず、JPYC側が用意している専用サイトでアカウントを開設し、マイナンバーカードや顔写真付き身分証などを用いたKYCを完了させると、日本円の振込先口座と、自分のウォレットアドレス(MetaMaskなど)を紐づけられるようになります。


そのうえで、指定された銀行口座へ日本円を振り込むと、入金額と同額のJPYCが、登録済みのウォレットアドレスにオンチェーンで発行されます。発行レートは原則として1JPYC=1円が前提です。
二次流通で入手する方法
原則は公式サイトで発行する方法ですが、実はもう一つJPYCを入手する方法があります。
PYCはまだ知名度が低く、Binance(バイナンス)やBybit(バイビット)などの大手取引所では扱われていません。しかし、分散型取引所DEXを利用すれば、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨でJPYCを購入できます。
UniswapなどのDEXは、上場前の審査がなく誰でも上場させることができてしまう仕組みを取っていることもあるため、偽物が出る可能性もあります。JPYCもX(Twitter)で、トークンの見た目(ロゴ)でJPYCと判断するのではなく、コントラクトアドレスを必ず確認するよう注意喚起しています。


JPYCはDEXなどでの二次流通を禁止してはいませんが、以下のようにかなりきつめに自己責任であることが明記されています。
現在、JPYC Prepaidは、UniswapやQuickswapを始めとした分散型取引所(以下、DEX)において取引をされていますが、当社は、DEXの運営に一切関与しておらず、二次流通価格を何ら保証するものではありません。また、DEX上における流動性の過不足により円滑に取引がなされない可能性があります。当社は、二次流通において生じる損害について一切責任を負いませんので、二次流通は、お客様のご責任とご゙判断で取引をお願いします。
出典)取引におけるリスク
最近は二次流通市場も大きくなっているようですが、まだ知名度が低かった2022年には、1JPYC=1円のはずがDEXで0.8円で取引されることもありました。



テザー(USDT)などのメジャーな米ドルステーブルコインと比べると不安定っコ


公式の換金レートよりも安く購入できるわけですが、ステーブルコインであることを考えるとやや不安になる値動きですね。
偽物のリスクがあるにも関わらず二次流通市場が使われるのは、1円=1JPYCよりも安く購入できる可能性があることや、先ほども紹介した脱税の目的で日本の銀行を経由せずにJPYCを入手したいという需要があるようです。
償還方法
逆方向のフロー、つまりJPYCを日本円に戻すときは、「償還申請→ウォレットからJPYCを送る→指定銀行口座へ日本円で受け取り」という形になります。
具体的には、JPYCの公式プラットフォーム上で償還手続きを開始し、案内に従って自分のウォレットから指定アドレスへJPYCを送付すると、その受領をもって償還申請が受付完了となります。
その後、送付したJPYCの数量に応じた日本円が、あらかじめ登録しておいた銀行口座に振り込まれます。現在は発行・償還ともに手数料は無料なので、ネットワーク手数料が差し引かれるだけでほとんど全額銀行口座に戻ってきます。
ユーザー側の体感としては、「オンチェーンのJPYC残高をバーンして、日本円を銀行口座で受け取る」というイメージで捉えると分かりやすいでしょう。こうして「銀行→JPYC発行→オンチェーン→JPYC償還→銀行」という往復ルートが成立することで、JPYCは国内外をまたぐ資金の移動に使えるようになります。
使い道が拡充されるかに注目
JPYCは規制の問題をクリアしたステーブルコインとなったことで、利用できる経済圏も拡充されているようです。
しかし、まだまだ一般向けの使い道が多いとは言えません。
また、大手海外取引所で利用できないというデメリットも大きいです。テザー(USDT)で保有していればステーキングで利回りを得られますが、JPYCのステーキングはマイナーなDeFiサービスのみが対応している状況です。


JPYCに関心がある方は、使い道が限られることを含めて、JPYCを使うメリットがどのくらいあるかを事前に確認した方がいいでしょう。
JPYCのプレスリリースを追っていると、使い道は徐々に拡大しているようです。わずかしかない日本円建てステーブルコインとしての今後に期待ですね!
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- JPYCはどこで、どうやって買えますか?
JPYCはJPYC社の公式プラットフォーム(JPYC EX)で口座開設と本人確認を行い、日本円を銀行振込することで1JPYC=1円のレートで発行してもらうのが基本ルートです。ウォレットアドレスを登録しておけば、振り込んだ金額と同額のJPYCが対応チェーン上のウォレット(MetaMaskなど)に送金されます。
- JPYCとJPYC Prepaidの違いは何ですか?
JPYC Prepaidは旧来の「前払式支払手段」で、新規発行は停止されており、払戻し(現金化)は前提とされていません。一方、現在のJPYCは「電子決済手段」として発行されており、1JPYC=1円で日本円に償還できるステーブルコインとして扱われます。
- JPYCはどのウォレットで使えますか?
JPYCはEVM互換チェーンに対応した一般的なWeb3ウォレットで利用でき、代表例としてMetaMaskやHashPort Walletなどがあります。対応チェーン(Polygon、Ethereumなど)を追加し、公式が案内するトークンアドレスを登録すれば、残高の表示や送金が可能です。
- JPYCは本当に価格が1円で固定されるのですか?
公式の発行・償還については1JPYC=1円が前提ですが、DEXなど二次市場の価格までは保証されません。二次市場では需給により1円を上下する可能性があり、あくまで「発行体との出し入れが1円で行えるよう設計されたトークン」と理解するのが適切です。
- JPYCにはどんな使い道がありますか?
個人レベルでは、ウォレット間の円建て送金、対応サービスでのオンライン決済、他のステーブルコイン(USDCなど)とのオンチェーンスワップに使われています。法人・サービス側では、ECや実店舗の決済インフラ、カード決済の返済手段、クリエイター報酬やポイント還元など、主に決済・精算の基盤として導入が進んでいます。








